膀胱癌・症状

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膀胱癌の症状・危険因子・検査・治療・予後・予防



     
§1 膀胱癌


     膀胱癌は膀胱を覆う内側の粘膜から発生する悪性腫瘍です。無症候性の血病が特徴で、この血尿は自然消失

     するのも特徴ですが、癌が進行すれば、血尿の頻度が増加します。この腫瘍が成長する事により、様々な症状

     を発現します。泌尿器系の癌では最も多く見られる癌です。罹患の頻度は50歳以上の特に男性に多い癌です。

     膀胱癌はかつて、発癌性のあるベンチジンを取り扱う染料・顔料工場に勤める人の職業病として知られているもの

     でもあります。

     膀胱癌は上皮内癌以外の場合には、膀胱鏡で診断可能で約半数が二個以上の多発癌です。7割は有茎性の

     乳頭上突起を持つものは、比較的悪性度の低く、膀胱内で再発を繰り返す事があっても、転移の少ない癌です。

     ですが、残りの3割の癌は表面の平滑なもので、治療が遅れたり、適切に治療できなければ、早期に転移し易い

     悪性度の高い癌と考えられております。








     
§2 症状/膀胱癌


        -膀胱周辺構造模式図 男性-
初期症状は殆ど痛みを伴わない、無症候性血

尿が断続的に起きることが特徴で、この血尿

は、1〜2回はそのままでも自然消失する事

が有りますが、長ければ、これが1年以上続

く事もあり、これを繰り返します。更に癌が

進行しますと、血尿の頻度が増加します。そ

して、自覚症状としては、その発生部位によ

り、排尿痛、頻尿、排尿困難もあります。こ

れは膀胱炎を起こしても排尿痛、頻尿がおこ

ります。

         -膀胱周辺構造模式図 女性-
頻度の少ない、殆ど腫瘤を作らない上皮

内癌の場合には、排尿痛、頻尿は主症状

であり、この場合には血尿を伴わない場

合もあります。腫瘍が尿管口に浸潤すれ

ば、尿の通過障害を起こす事により、水

腎症を起こしてしまいますと、脇腹や、

腰も痛むようになります。内尿道口近傍

に癌が発生しますと、排尿困難も起こす

事があります。




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§3 危険因子/膀胱癌


     
明確な原因は特定されておりませんが、喫煙、慢性的な刺激、薬物、その他などが指摘されております。


     
§3−1 喫煙/危険因子/膀胱癌


     
統計的に喫煙者は、非喫煙者と比較し多データでは膀胱癌に罹患する人が、2倍以上とされております。






     
§3−2 慢性的な刺激/危険因子/膀胱癌


     
慢性的、長期的な刺激の例としまして、エジプトで住血吸虫症の患者が高率に膀胱癌を併発する事が知られて

     おります。住血吸虫の刺激が原因ではないかと考えられております。又、膀胱結石を長期に体内に持っている人

     も膀胱癌に罹患する頻度が高いことも知られております。






     
§3−3 薬物・化学物質/危険因子/膀胱癌


     
精神安定剤のクロルプロマジン(多くは塩酸塩)、抗癌剤(シクロフォスファミド)、解熱鎮痛剤(フェナセチン)、

     アニリン系色素、芳香族アミンなどに暴露され続ける事により、膀胱癌が高率に発生すること、誘発される事

     が指摘されております。アニリン系色素、芳香族アミンなどの化学物質は、製造・使用は禁止されております。





     
§3−4 その他/危険因子/膀胱癌


     
コーヒーを多飲する人や、緑黄色野菜(特にビタミンA)の摂取不足の人、高蛋白食、ゼンマイやワラビも危険

     因子とされております。日常で水分量の大目の摂取は、膀胱癌の発生頻度減少に寄与するとされております。





     
§4 検査/膀胱癌


     
膀胱癌は膀胱鏡検査、尿細胞診で特定できます。断続的に無症候性の血尿が有る場合には、膀胱癌以外に腎盂

     尿管癌、腎細胞癌などが疑われます。上皮内癌の場合には、膀胱生検による確定診断が必要になります。





     
§5 治療/膀胱癌


     治療は病期や悪性度、腫瘍の広がり具合などにより、夫々対応が異なります。然しながら、殆どの場合には、

     手術対応です。

         -膀胱癌の進行期模式図-
§5−1 Tis/膀胱癌/治療

右図を御参考にご覧下さい)

上皮内癌で病期がTisの場合には腫瘍が膀胱

内に広がっている事が多いため、BCGを

用いて膀胱内を治療する膀胱内注入療法が

標準的な治療法になります。奏功率は60

〜70%ですが、2コース実施しても無効

の場合には、膀胱全摘術が選択されます。

全摘の場合には、腫瘍が尿管や尿道に広が

っている事もあるため、尿道を同時摘出す

る事もあります。(注入は6〜8回/コース 毎週継続実施1コース終了後無効の場合には、もう1コース

実施します)




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§5−2 Ta・T1/膀胱癌/治療上図を御参考にご覧下さい)


     腫瘍が膀胱筋層に浸潤していない場合には、腰椎麻酔の上、尿道から膀胱鏡を挿入し、視野確認しながら切除

     ループと呼ばれる電気メスで腫瘍を除去します(経尿道的腫瘍摘除術)。膀胱全面に腫瘍が広がっていなければ、

     この治療法により治癒は充分望めるとされます。但し、この方法の場合には、再発の問題が有り、60%程度の

     頻度で再発しますので、術後の定期的な膀胱鏡検査が必要になります。膀胱内に抗癌剤を注入する方法も有り

     ますが、これは身体的な理由などで、経尿道的腫瘍摘除術の受けられない人に限り、適用されます。然しながら、

     抗癌剤注入による治療法の効果が、良くないとされています。





     
§5−3 T2〜T4/膀胱癌/治療上図を御参考にご覧下さい)


     
膀胱筋層に腫瘍が浸潤している場合には膀胱全摘除術が選択されます。





     
§5−3−1 T2/膀胱癌/治療上図を御参考にご覧下さい)


     
かつて、膀胱全的除術の行われる以前には、膀胱の一部を摘出する(膀胱部分切除術)方法が選択された事も

     ありますが、術後の再発、転移が多く、治療成績が悪いため現在では殆ど選択されておりません。また、T2の場

     合には、経尿道的腫瘍切除術で治癒する事も有りますが、50%以上の頻度で再発、他臓器転移が見られる事

     があるため、膀胱全的術が選択されます。





     
§5−3−2 T3・T4/膀胱癌/治療上図を御参考にご覧下さい)


     t3.t4の進行の場合には、膀胱全的除術だけでは、治療成績は極めて悪いとされ、5年生存率も30%以下の

     ため、膀胱全摘除術の前、後に抗癌剤の併用療法も選択されております。







     
§5−4 尿路変更術/膀胱癌/治療


     
膀胱全摘除術を選択する場合には、手術後に正常な排尿は不可能になります。そのため新しい尿路を再建しな

     ければなりません(尿路変更術)。また、手術は長時間かかります。男性はセ ス不全になりますが、防止のため

     に神経温存術もありますが、腫瘍を取り残す可能性があるため、薦められておりません。(セ スを可能にするため

     、セ スにプロステーゼを埋め込む手術も行われております。





     
§5−4−1 尿管皮膚造瘻術/膀胱癌/治療(御参考に下図をご覧下さい)


          -尿路再建術模式図-
膀胱全的除術の際に、切断された尿管を直接

、皮膚と吻合して尿を体外に導く方法で、こ

の方法は尿袋が必要になります。手術は概ね

問題が無いのですが、腎機能が低下し易い問

題が有るため、あまり選択されておりません。






§5−4−2 代用膀胱形成術/膀胱癌/治療

(御参考に右図をご覧下さい)

     小腸又は大腸を代用膀胱として、用います。尿道を摘出しなければ、尿道と吻合する事により、自然排尿ができ

     ます。尿道を摘出した場合には、右下腹部に代用膀胱のストーマを造る事になります。ストーマが有る場合には

     回腸導管造設術とQOLには差が有りませんが、尿道と吻合が可能な場合には、QOLは自然排尿が出来るため

     に、良好であり、近年広く選択されております。





     
§5−4−3 回腸導管造設術/膀胱癌/治療(御参考に上図をご覧下さい)


     小腸の一部分(20cm程度)を使用して尿道用導管を作り、この導管に尿管を繋ぐやり方で皮膚に吻合します。

     ストーマを経由して排尿しますので尿袋gあ必要になります。この方法は標準的な尿路変更術となっております。



 
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§5−4−4 尿管S字結腸吻合術/膀胱癌/治療(御参考に上図をご覧下さい)


     
尿管をS字結腸に吻合する考え方です。尿は.から出るために尿袋の必要は無いのですが、糞便と尿が混

     じってしまうために尿路感染を起こしやすく、腎機能が低下し易くなるため、問題が有り、一般的な方法では有り

     ません。





     
§5−5 その他/治療/膀胱癌


     
他臓器(骨、肺、リンパ節など)に転移が見つかった場合には、抗癌剤による全身化学療法を実施します。多剤

     併用療法が選択されますが、その有効率は60〜70%程度とされております。





     
§6 予後/膀胱癌


     
膀胱癌は膀胱筋層に浸潤していなければ、予後は比較的良いとされており、その場合の5年生存率も70〜90%

     といわれております。但し、再発も60%程度あり、膀胱内再発は2年以内に起こるとされております。その場合

     には、再発の20%が悪性度が高くなっており、浸潤も深くなります。治療を適切に行った場合には、膀胱筋層に

     浸潤する場合の5年生存率は、50〜80%で膀胱外に浸潤している場合には、10〜30%程度しかありません。

     この再発に付いては殆どが2年以内に起こっており、2年以後の再発はまれといわれますので、この2年間につき

     ましては、定期的な検査を絶対におろそかにはできません。最優先で定期検査を実施します。定期的な検査は3

     ヶ月毎ということですが、その場合の検査は膀胱鏡検査になります。再発が小さければ、経尿道的腫瘍摘除術で

     治癒するとされますが、放置したり、遅れますと、膀胱全的除術が必要になる場合もあります。膀胱全的除術を

     適応した場合には、他臓器への転移を調べる必要があります。





     
§7 予防/膀胱癌


     
予防法はこれだというものは、提示されておりませんが、水分を多く摂取することにより、膀胱癌の発生率が

     低下するという話もあります。ビタミンA含有の緑黄色野菜の摂取に努めることも大切です。危険因子としては

     喫煙、膀胱結石を放置する事、解熱鎮痛消炎剤の乱用、高蛋白食、ゼンマイ、ワラビの摂取などが挙げられて

     おり、注意します。







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